【サステナブル】フェアトレードとは何か?目的や仕組みについて解説
近年、様々な場所で目にする機会が増えた「フェアトレード」。この記事では、フェアトレードの目的や仕組み、メリット、そして課題についてわかりやすくご紹介します。フェアトレード商品を購入を検討する際にお役立てください。
フェアトレードの意味と意義
直訳すると「公平・公正な貿易」。生産者の労働に見合った価格で対等に取引が行われる貿易システムのことを指し、途上国(生産国)と先進国(消費国)の間の貿易において目指すべき姿と考えられています。
例えば先進国では、コーヒーやチョコレート、紅茶など途上国で生産された商品が、安く販売されていることがあります。その背景には、低価格を維持するために、生産者に正当な対価が支払われていない可能性も考えられます。生産者は十分な利益を得ることができず、貧困などさまざまな問題が生じているというわけです。
途上国の生産者に対し、生産された原料や製品を適正な価格で購入し続けることが、立場の弱い生産者の賃金や労働環境、そして生活水準の向上につながります。
背景にある3つの問題点
フェアトレードが必要とされる背景として、具体的には次の3つが問題点して挙げられています。
1.児童労働
義務教育を妨げる労働や、法律で禁止されている18歳未満の危険・有害な労働のこと。2021年のUNICEF(国際連合児童基金)とILO(国際労働機関)の発表によると、児童労働に従事している子どもは全世界で1億6,000万人にのぼると言われています。
2.強制労働
処罰(暴力)の脅威下に置かれた人が、自由意思に反して労働している状態のこと。1930年にIOLが定めた強制労働に関する条約で強制労働を基本的人権の侵害とされていますが、実際には現在も強制的に働かされている人がたくさんいます。
3.劣悪な労働環境
アフリカ大陸、東南アジア、南アメリカの国々には、長時間労働や不安定な雇用状況の中で働いている人がたくさんいます。
OECD(世界経済協力開発機構)の報告によると、2021年における世界の年平均労働時間は、1人当たり1,716時間。対して、メキシコやコスタリカなどの途上国では1年で1人当たり2000時間前後も労働しているとされています。また、南アフリカなどでは、失業率が高い状態も長く続いています。
フェアトレードが必要な理由
途上国の生産者に対して適正な対価が支払うことが、3つの問題点の解決につながっていきます。しかし、立場の弱い途上国が、先進国の事業者から不公平・不平等な貿易を強いられているのが現状です。
先進国と途上国のアンフェアトレードの歴史を紐解くと、奴隷制度や植民地支配の時代にまでさかのぼります。不当な支配を受けていた国々は第二次世界大戦後に独立を果たしましたが、経済的な立場は変わらず、適正価格で取引できないケースも少なくありませんでした。安い対価しか受け取れないために児童や現代奴隷を働かせることになり、さらには労働環境が劣悪なまま放置されてしまっているのです。
こうした状況から、途上国(生産国)と先進国との間で「公正・公平な貿易」を成立させることがフェアトレードの最大の目的です。公正・公平な取引を通じて、生産国における人権問題・環境問題・貧困問題などを解決していくことが期待されています。
基準となる法律や条約
実はフェアトレードにまつわる国際的な法律・条約は存在しません。その代わり、フェアトレードを推進する団体は世界中に多数存在しており、それぞれフェアトレードの目安(基準)を掲げています。ここでは、代表的な基準である「WFTO」「国際フェアトレード基準」の2つをご紹介します。
●「WFTO」による10原則
WFTO(世界フェアトレード連盟)は各国のフェアトレード推進組織の連合体で、1989年に発足しました。フェアトレード団体が順守すべき指針として、フェアトレードの10の指針を掲げています。
1:生産者に機会を与える
2:事業の透明性と説明責任を果たす
3:公正な取引を実践する
4:生産者に公正な対価を支払う
5:子どもの労働、強制労働のない社会の実現する
6:差別をせず、男女平等と結社の自由を守る
7:適切な職場環境の確保編集する
8:生産者のキャパシティ・ビルディング(能力強化)を支援する
9:フェアトレードを推進する
10:環境に配慮する
●国際フェアトレード基準
国際フェアトレードラベル機構によって定められた基準。多岐にわたる基準が定められていますが、経済的基準、社会的基準、環境的基準の3つの柱が基本となっています。
・経済的基準
経済的基準では次の要素が掲げられています。
・フェアトレード最低価格の保証
・フェアトレード・プレミアムの支払い
・長期的な取引の促進
・必要に応じた前払いの保証等
途上国の生産者が持続可能かつ健全に生活するためには、取引価格とともに取引条件への配慮が重要になります。
・社会的基準
社会的基準としては次の4項目が掲げられています。
・安全な労働環境
・民主的な運営
・差別の禁止
・児童労働・強制労働の禁止等
児童労働・強制労働の排除だけでなく、すべての生産者・労働者の人権を守ることが大切です。
・環境的基準
環境的基準として定められているのが次の項目です。
・農薬・薬品の使用削減と適正使用
・有機栽培の奨励
・土壌・水源・生物多様性の保全
・遺伝子組み換え品の禁止等
持続可能な生産体制を築くためには環境面にも配慮しなければなりません。
フェアトレード認証ラベルの種類
フェアトレード商品であることを示す証明として「フェアトレード認証ラベル」が各機関から付与されます。認証ラベルは次の3種類に分けられます。
●国際フェアトレード認証ラベル
国際フェアトレード機構によるフェアトレード認証。国際的なフェアトレードスキームのシンボルであり、世界的に最も認知されている倫理的ラベルの一つです。この認証ラベルが付いた製品は、社会的、環境的、経済的基準について定めた国際フェアトレード基準を満たしていることになります。
●WFTO認証ラベル
WFTOのによるフェアトレード認証になります。商品の原料調達から生産まで、すべての工程でWFTOが定める社会、環境、ガバナンスに関する10の指針と約100の基準をクリアした団体に与えられます。
●団体独自のフェアトレード認証ラベル
フェアトレードには基準となる世界的な法律はないため、各企業や団体が独自の判断でフェアトレード基準を作成して、生産者との直接取引や支援が実施されています。なかには国際フェアトレード基準やWFTOのフェアトレード基準よりも厳しい基準を設定しているケースもあります。
対象の商品(食品/食品以外)
フェアトレードの商品にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは国際フェアトレード基準による「国際フェアトレード認証」の対象製品をご紹介します。大きく「食品」「食品以外」の2つに分けられます。
●食品
コーヒー/紅茶/カカオ(チョコレート)/はちみつ/サトウキビ糖(砂糖、アイスクリーム)/穀類(キヌア、米)/野菜/オイルシード・油脂果実(大豆、ごま、シアバター、オリーブオイル)/ワイン/加工果物(ジュース、ドライフルーツ)生鮮果物(バナナ等)/スパイス・ハーブ(コショウ、シナモン等)/ナッツ
●食品以外
スポーツボール/切花・鑑賞用植物/コットン/化粧品/みつろう(クレヨン/キャンドル)/ゴールド・シルバー
フェアトレードのメリット・デメリット
●メリット
生産者にとっては、公正な取引が継続して行われることで所得を増やす機会が得られ、貧困から抜け出すことができます。また児童労働が減り、子どもたちの教育の時間や機会を確保しやすくなります。一方消費者にとっては、生産背景の透明性が保たれることで、安心・安全で高品質な製品を手に入れることができるでしょう。
●デメリット
フェアトレード商品は一般的な商品と比べて価格が高くなる傾向があります。しかしフェアトレードとして生産者に適正な対価が支払われている以上、消費者としても適正な対価を負担する必要があります。
また、フェアトレードの基準は各国の団体・組織によって基準が定められており、曖昧です。「フェアトレード」とラベリングされている商品であっても、生産者にどのくらい適正対価が支払われているかはわかりません。フェアトレードに貢献するためには、信頼できるフェアトレード認証ラベルを見極めることが必要です。
GoodsHubで取り扱うフェアトレード商品
GoodsHubのフェアトレードをアイテムをご紹介します。詳しい情報は、各商品ページにてご確認ください。
1.Notabag | BAG & BACKPACK Original ▶商品を見る
2.Notabag | BAG & BACKPACK Recycled ▶商品を見る
5.ウォームハーツコーヒークラブ | マラウイコーヒー ドリップバッグ ▶商品を見る
持続可能社会を実現するために
いまだに途上国の生産者の貧困問題は解決しておらず、すべての人が人間らしい健全な生活を実現するためにフェアトレードの推進は必要不可欠。
企業や国が努力することはもちろんですが、消費者一人ひとりが、フェアトレードの製品を選ぶ意識がとても大切になります。少しずつ理解を深め、意識を変え、可能な範囲で取り組んでみるとよいでしょう。
◆参考・出典
・フェアトレードジャパン
・World FairTrade Organization
・日本ユニセフ協会